
『ゲームメーカーズ 日本語版』の制作およびクラウドファンディング実施に伴いまして、今作のデザイナーであるBen Rosset氏による「デザインダイアリー」の翻訳版を公開いたします。
これは、海外版クラウドファンディングの実施に先駆けて、2025年7月11日にBoardGameGeekへと公開されたものです。
海外版元であるBézier Gamesを通して、翻訳・公開の許可をいただいております。
日本語版クラウドファンディングページの「ゲームの概要と魅力」の部分を先にお読みいただくと、よりお楽しみいただけるかと思います。
『ゲームメーカーズ』デザインダイアリー
Ben Rosset, 2025/07/11 (edited)
ゲーマーの皆さん、こんにちは!
『ゲームメーカーズ』のデザイナー、Ben Rossetです。
『ゲームメーカーズ』の最初のアイデアと初期デザインの物語を皆さんと共有できることを、嬉しく思っています。
私がこのゲームの最初のアイデアを思いついたのは、2021年の夏でした。
Matthew O’Malley氏と私はちょうど『Fromage』の初期デザインを完成させ、出版社へと提出したところでした。
[訳注:『Fromage』はBen Rosset氏とMatthew O’Malley氏による2024年作品。ホビージャパン様より『フロマージュ』として日本語版が発売中。]
私は『Fromage』で採用している「同時処理のワーカープレイスメント」というアイデアを、さらに探究したいと強く思っていました。
そこで、新たな独立したゲームを作るために使える、別のテーマを探し始めたのです。
ただし、『Fromage』の単なる焼き直しにするのは嫌で、メカニクスに新たなひねりを加え、違ったフィーリングを持つゲームを作りたいと考えていました。
『Fromage』のメカニクスにひねりを加えるための当初のアイデアは、メインボードを『Fromage』のように円形に回転させるのではなく、縦方向へと流れるようにすることでした。
まっすぐと縦方向に流れるアイデアから、すぐに組立ラインのような印象を受けました。
そこで、「これは何かを製造するゲームになるかもしれない」と思ったのです。でも何を?
私は2015年からフルタイムでPanda Game Manufacturingに勤めています。
そしてここ数年、頭の片隅でずっと、「Pandaがやっていること、つまりボードゲームの製造をテーマにしたゲームを作りたい」と思っていました。
しかし、そのゲームに適したメカニクスがなかなか形にならなかったのです……そう、今までは!
「同時処理のワーカープレイスメント」を使ってボードゲームを製造する、というアイデアを閃いた瞬間、私は正しいテーマに行き着いたと確信しました。
2021年8月、私はデザインに着手しました。
最初のゲームデザインは、Kickstarterのキャンペーン開始時に皆さんが目にするものとはまったく別物でした(今のほうがはるかに良いゲームになっています!)。
例えば、KickstarterページやBGGの写真で見ていただけると分かるように、現在のメインボードは円形です。
しかし最初のプロトタイプでは(そしてゲームデザインとデベロップにかけた最初の約2年半のあいだは)、ボードは縦型でした。
こちらは初期バージョンのメインボードとプレイヤーの工場ボードの画像です。
同じゲームだとはほぼ思えません!
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2021年8月から2023年初頭にかけて、このゲームは断続的なデザインとデベロップメントを通して、大きな変更(そして改善!)を経てきました。
この期間に多大な尽力をいただいた、R2i Games(『Fromage』の出版社)のJeff Chin氏とAndrew Nerger氏に、感謝の言葉を贈りたいと思います。
彼らによるこの期間の貢献は、いま私たちが手にしている完成版からも感じられます。
2023年初頭には、メインボードとプレイヤーの工場ボードが形になり始め、現在の完成版に少しずつ近づいてきました。
ただし、この時点でもメインボードはまだ縦型で、アクションはボードの下から上へと流れ、頻繁にシャッフルして下にリセットする必要がありました。
機能はしていましたが扱いづらく、まだ改良が必要でした。
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それからさらに6か月間、デベロップを続けました。
この期間の大きな変更点は、コンポーネントに「品質」という要素を加えたことです。
例えば、ワーカーは単に木材を1個/2個/3個集めるのではなく、「良質/高品質/最高品質」な木材を集めるようになりました。
これはメインボードによりしっかりと文脈を与え、プレイヤーにとってより歯ごたえがあり、よりジューシーな選択を生み出す、まさにひらめきの瞬間でした。
GenCon 2023の時点で私はこのゲームが充分形になったと感じ、出版社へと売り込むため会場へと持ち込みました。
その際に出版社向けに配布した、このゲームのセルシートの画像を掲載します(セルシートとは、一般的にデザイナーが出版社へと配り、ゲームに興味を持ってもらうために作成する、1ページにまとめたゲームの広告です)。
このセルシートからは、以下のことがわかるでしょう。
・1点目。この時点でもボードはまだ縦型です。
・2点目。「これまでにないテーマ」と書いていますが、私はこの時点ではボードゲーム『Tabletop, Inc.』を知りませんでした。
・3点目。当時は、各プレイヤーの持つ工場ワーカーは(現在の3個ではなく)2個だけでした。
・4点目。コンポーネントとして、実在のボードゲームが64タイトル登場すると示されています。現在ではもちろん300タイトル以上です!
Bézierは『ゲームメーカーズ』の特徴である収録ゲームのライセンス取得において、本当に素晴らしい仕事をしてくれました。
これほど多くのゲームが収録されるとは、夢にも思っていませんでした。
(予告にはなりますが)近日公開予定の、Renée Harris氏によるライセンス取得ダイアリーを読むのが今から楽しみです。
『ゲームメーカーズ』に登場する作品のライセンスを得るために、彼女がどれほどの仕事をしたのかが語られるはずです。
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Bézierはこのゲームにすぐ興味を示してくれました。
実際に彼らと本作を遊ぶ機会を得たのは、2023年9月下旬でした。
その後、彼らは約1ヶ月かけて社内でテストプレイを行い、11月中旬には出版を決定してくれました!
出版社が判断を下すまでに6~8週間かかるのはごく普通です。
すべてのゲームのライセンスを取得できるという確信を得るためにも、それだけの時間が必要だったと思っています。
Bézierと私は当初から、「実在の人気ボードゲームを収録できる場合にのみ、共に話を進める」と合意していました。
私はBézierとの契約以降も時折デベロップに関わっていましたが、2023年後半から現在に至るまでのデベロップの物語については、(これも予告ですが)Bézierの社長であるTed Alspach氏が、近日公開されるデベロップダイアリーで語ってくれるでしょう。
私が言えるのは、Bézierと一緒に仕事ができたのは素晴らしい経験だった、ということです。
彼らはライセンスだけでなく、ゲームのデベロップにも大いに力を注いでくれました。
私は彼らの仕事に心から満足しています。
共にこのゲームを実現できた彼らとの関係は、真のパートナーシップでした。
私を支え、このプロジェクトを支援してくれた、Panda Game ManufacturingのMichael Lee氏とRichard Lee氏、そしてチームの全員に感謝したいと思います。
もしPandaに雇われていなければ、このゲームは存在しなかったでしょう。
そしてPandaは、このゲームをできる限りスペシャルなものにするため、コンポーネントに特別な注意と労力(そして資金)を注いでくれました。
Kickstarterのキャンペーン開始を、そして皆さんがこのゲームを手にし、ビジネスとして最高のボードゲームを製造するという夢を実現する日が来るのを、心から楽しみにしています!
翻訳:ぬん(株式会社ケンビル)